ジェイミー・オリヴァーの給食革命!TED TALKで賞を受賞!
ジェイミー・オリヴァー(Jamier Oliver)、ご存知でしょうか?
自分が初めて彼を見たのは15年近く前でしょうか、夜中に何げなくチャンネルを回すと、若い外国の男性が何やら料理の説明を交えながら調理していました。
なんというか彼のノリとトークが面白く、その後も夜中に時々彼の番組を見ていました。
イギリスの料理はあまり美味しくない、伝統料理はフィッシュ&チップス、そんなイメージがそれまであったのですが、彼の話では元々イギリスには伝統料理があり、人々は料理をしていた、ただある時を境にその伝統料理は受け継がれることなく途絶えてしまったとのことでした。
自分もかなり前に見ていたので、その途絶えた原因が何だったのかは忘れてしまいましたが・・、ごめんなさい。
ジェイミー・オリヴァーはイギリス出身のシェフで、とりわけ1999年からは数々のテレビ番組に出演し、彼の初の料理本である“The Naked Chef”はイギリスでべストセラーにもなりました。
その後2009年にTED TALKで賞も受賞しています。
ちなみにTED TALKはステージの上で様々な分野のエキスパートが講演を行う番組で、ビル・ゲイツ、アル・ゴア元副大統領、ミッシェル・オバマ、マイケル・サンデル等々、数々の著名人が過去にTED TALKで講演を行っています。
彼はただ料理をするだけでなく、世界の食・健康の問題を解決しようと2010年に“ジェイミー・オリヴァーの給食革命(Jamie Oliver’s Food Revolution)”を開始しました。
ここではジェイミー・オリヴァーの経歴やTED TALKで語った彼の話も含め、ジェイミー・オリヴァーの給食革命についてご紹介したいと思います。
目次
ジェイミー・オリヴァーとは?
レストランを経営する両親のもとに生まれる
ジェイミー・オリヴァーはイギリス・エセクスのクラヴァリングという村に1975年に生まれます。
そもそも両親がパブ・レストランを経営していたので、ジェイミー・オリヴァーがその後料理の道に進んだのは自然な流れだったのかもしれません。
その後、16歳で学校を退学し、ウエストミンスター・キングスウェイ・カレッジに入って料理を学び続けます。
ここでジェイミー・オリヴァーは家政学を専攻していました。
この時点で彼は料理を作ることだけでなく、食を取り巻く環境に既に関心を持ち学んでいたということですね。
初めて実践の場で働いたのがアントニオ・カルーチオのレストランです。
ここではパティシエを務めます。
最初はデザートやケーキを担当していたのは少し意外でした。
その後フラムにあるザ・リヴァーカフェに移り、ソーシエを務めます。
ソーシエとはソースだけを担当する係のことで、日本で焼き場、揚げ場等があるように、フランス料理等にはソーシエという専門の係がいます。
ここで初めてBBCが彼に注目しテレビでも取り上げられます。
1997年のことでした。
ザ・ネイキッド・シェフ(The Naked Chef)で一躍有名人になる
1999年になるとBBCの番組で“ザ・ネイキッド・シェフ(The Naked Chef)”という担当番組を任され、一躍有名になります。
ちなみにこれネイキッド・シェフという題名ですが、もちろん彼が実際に裸にはなりませんよ(;^_^
彼の作る料理はシンプルで素材を活かしたものだったのでネイキッド・シェフとなったわけです。
確かにシンプルでインパクトのあるタイトルですが、ちょっと誤解を招くので本人的にはタイトルあんまり気に入っていないようです。
同じ年の1999年にはトニー・ブレア元首相に招かれて昼食を担当したりもしました。
ジェイミーズ・キッチン(Jamie’s Kitchen)で若者に働く場とスキルを提供する
BBCの番組からチャンネル4に移り、ドキュメンタリー番組である“ジェイミーズ・キッチン(Jamie’s Kitchen)”も担当するようになり、“フィフティーン(Fifteen)”という名のレストランもロンドンに立ち上げます。
そこでは、様々な事情で社会からはじかれてしまった若者を雇い、料理を学んでもらうことで彼らが自立する道を開きました。
自身も当時ニュースなどで少し見ていたのですが、ジェイミー・オリヴァーはただのシェフではなく、大きな志を持って社会問題にも取り組む人なのだと彼に対する見方がまた一段と変わりました。
フィード・ミー・ベター(Feed Me Better)で学校給食の改革を行う
2005年になるとイギリス国内の学校での子供の食環境がひどいと“フィード・ミー・ベター(Feed Me Better)”というキャンペーンを行い、栄養のあるしっかりとした食を取り、ジャンクフードをできる限り避けるべきだと注意を喚起します。
日本ではまず想像できないのですが、当時イギリスではフライドポテト・チキンナゲット・ハンバーガー等のマクドナルドで出るようなファーストフードが毎日の給食だったのです。
野菜といったらグリンピースぐらいです。
これが毎日の給食だったらそれは栄養偏り過ぎですし、肥満の子も増えますよ~。
なにより飽きる!
この活動は実際イギリス政府も動かし、政府自体がこの食の問題に真剣に取り組むことを約束しました。
実際にジェイミー・オリヴァーは27万人の署名を集めて、トニー・ブレア首相に実際会いに行って直談判をしています。
ジェイミー・オリヴァーの給食革命
ジェイミー・オリヴァーはイギリスの国内の食を取り巻く状況に大きなショックを受けました。
実際に小学校に行って子供に“これなんだ?”とアスパラガスやネギ等野菜を手に取って聞いても、“分からない”という回答。
本人が手作りで料理を作っても見向きもしない、むしろチキンナゲットに手を伸ばす。
もう完全に子供のうちから作り置きのファーストフードに慣れてしまっているのです。
そもそもこのファーストフードの源はどこでしょうか?
どこからそもそも来たのでしょうか?
ハンバーガー、フライドポテト、チキン、コーラ。
日本でも子供から大人まで人気ですね。
自分も大学生の頃まではよく食べてましたし、実際美味しかったです。
けれどどれも日本発祥の食べ物ではありませんね。
自分のイメージには1つの国しか思い浮かびません。
そうです、アメリカです。
恐らくジェイミー・オリヴァーが給食革命の中でアメリカを周ったのは、そもそもの大元をなんとかしていかなければ、問題は解決できないと感じたからだと思います。
彼はアメリカのハンティントン(アメリカ南部)、ウェストヴァージニア、ロサンゼルスと小学校や家庭を中心に周りました。
小学校で彼が子供に真っ赤なトマトを見せて、“これは何か分かるかい?”と聞くとじゃがいも、茄子を見せて聞くと“梨かな?”という回答。
子供は自分たちが食べているものが何からできているのか全く知らなかったのです。
2人の子供を持つ家庭の母親を訪ね、テーブルの上にピザやポテトフライ、ハンバーガーを山積みにし、“この食材が全てあなたとあなたの家族みんなの体に入るんです”と伝えました。
母親は肥満体系で子供もまた太っていました。
ジェイミー・オリヴァーはTED TALKの中で3つのトライアングルを指し示しました。
家庭・学校・食品産業です。
家庭の問題
上記の子供を持つ家庭の母親のように、まず家庭そのものがそもそも料理に関する知識がありません。
人によってはただ作るのが面倒だからラージサイズのピザとハンバーガー、ポテトフライ等を買っておしまいというケースもあるかもしれません。
いずれにしても、子供は出されたものを食べるしかありません。
栄養が偏って、肥満になるのもうなずけます。
学校の問題
家庭の母親が調理の仕方を知らないように、学校の給食を作る人、自分が子供の頃は給食のおばちゃんと呼んでいましたが、彼女達が食に関する知識がないのです。
もちろん調理はできますが、言われたことをマニュアルにある通りに作るだけなのです。
けれどTED TALKの中でジェイミー・オリヴァーが伝えているように、彼女たちに罪はありません。
誰も子供を不健康にしたいとは思いません。
そもそも他に料理の仕方を教えてもらっていないし、やり方も知らないのだから指示通りのことをするしかないのです。
実際給食費に充てられる予算がかなり低く、新鮮な野菜を使えず、給食に使われる食材も自然と安い質のおとる食材になってしまうのです。
そこで働いている人だけではどうにも解決できない部分もあるのです。
食品業界の問題
食品業界にはファーストフードからスーパーマーケットまであります。
これはアメリカだけでなく日本でも一緒ですね。
30年前のアメリカのスーパーでは、新鮮な野菜、地元産の野菜を買うことができましたが、今では大半が加工食品、そして添加物をたくさん使っています。
また、これには自分も驚いたのですが、アメリカでは食材表示ラベルは第三者が審査するのではなく、自分達の業界団体が審査を行うのです。
これではいくらでも業界の利益のために偽装表示ができてしまいます。
ジェイミー・オリヴァー言っているように、砂糖を大量に使っている食品を低脂肪とうたい体の良い表現に切り替えて販売することも可能です。
給食革命を通して伝えたかったこと
アメリカ疾病管理予防センターの2016年のアメリカでの死因別データ統計は下記の通りでした。
1位:心臓病 (633,842)
2位:ガン (595,930)
3位:慢性呼吸器疾患 (155,041)
4位:事故 (146,571)
5位:脳卒中 (140,323)
6位:アルツハイマー病 (110,561)
7位:肥満 (79,535)
以下省略
Source : Health United States Report 2016
ジェイミー・オリヴァーはこの内、心臓病、ガン、脳卒中、肥満は食に関連する病気だと語っています。
肥満にかかる治療費は全体の10%、1千5百億ドルだとも述べています(2010年時点)。
このままいくとこの費用は10年後には2倍にまで膨れ上がるそうです。
彼が伝えたかったのは、これらの病気は事前に予防することができるということでした。
食を通して人々がしっかりとした知識をつければ、病院に通わず、毎年無駄なお金を払わず未然に防ぐことができるということです。
そのためにも“食育”の必要性を説いています。
学校・家庭・飲食産業、全ての環境で人々が食に対するしっかりした知識をつける必要があると述べました。
彼はTED TALKに出演するまでの間7年間かけてアメリカ各地でこの食育の必要性を説いて周っていたのです。
個人的にも食の問題はとても大切だと思います。
なぜなら食べ物はダイレクトに体に入るからです。
ダイレクトに入ったものが自分達の体を形作るからです。
それによって健康にもなれば、不健康にもなる、最悪上記の病気のように死にいたってしまうこともあるからです。
まとめ
自分がジェイミー・オリヴァーが本当にすごいなと思うのは、料理を作るだけでなく、料理を通して社会問題解決に全力で取り組んでいるところです。
しかも1人でも果敢に行動していく所です。
政治などもそうかもしれませんが、1人では何も変わらない、1人で動くのは恥ずかしいと、ほとんどの人、いえ時に自分もですが、問題を感じてもそのままなあなあで素通りしてしまうことが多いんじゃないかと思います。
けれど、政治を動かす政治家を選ぶのは1人1人の投票です。
社会を作るのは1人1人の人間です。
マークザッカーバーグもかつてフェイスブックは考え自体あったものの、実際には自分のような力もお金もない一学生ではなく、きっと大きな資本のある大企業がやるだろうと思っていたと語っています。
ですが、最終的には誰かがやるのを待つのではなく、本人が自ら動き最終的に世界をつなぐネットワークを作り上げてしまいました。
ジェイミー・オリヴァーも本人が先陣を切って署名を集め、ブレア首相に直談判をし、最終的にイギリス政府が学校給食の改善に440億円の予算を計上する形となりました。
もちろん本人達以外にも様々な人の協力があってのことですが、その一番最初は一人で声をあげて動くところから始まり、最終的に世界をつなぐ仕組みを作ったり、政府を動かしたりしているのです。
今、イギリスやアメリカと比較すると日本の食はかなり恵まれていると感じました。
給食は栄養バランスを考えて作られていますし、実際美味しいので自分が子供の頃は今日のメニューはなんだろうと毎日楽しみにしていました。
ですが学校を出て一人暮らしを始めたり、社会人になると自分で作るか、作れない場合はカップラーメンでおしまいなんてケースもあるんじゃないかと思います。
時間も子供の頃のようになくなり、ぱぱっとコンビニの弁当、カップラーメン、終了なんてことも。
自分はそのような食べ物が全て悪いとは思いませんし、自分もたまにぱぱっとすますことのできる出来合い品買ったりします。
けれど、やっぱり自分で野菜を買って作って食べると美味しいですし、圧倒的に安いです。
栄養もしっかり取れますし、出来合い品のように添加物をたくさん使っていないので安心して食べられます。
食は一生を通して付き合っていくことなので、改めて大切にしていきたいと思いました。