アメリカの宇宙軍とはなに?なぜ必要?トランプ大統領の意図が気になったので調べてみました!
米国のトランプ大統領が6月に宇宙軍を創設する大統領令を発表しました。
宇宙軍というと、名前からしてエイリアンや宇宙人といった地球外生命体から地球を守るための軍、といったイメージがわいてきます。
スターウォーズやガンダムのように宇宙空間で壮絶なバトルを繰り広げたりとか。
近未来SFの話かと思っていたのですが、実際もうそんなことも現実的視野に入れる必要のある時代となったのでしょうか?
実際のところの宇宙軍創設の真意は何なのでしょうか?
目次
トランプ大統領宇宙軍新設を発表
6月18日にホワイトハウスで開かれた国際宇宙委員会の会議の中で、米トランプ大統領は宇宙軍の新設を国防省に指示しました。
現在アメリカ合衆国には、陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊の5軍があり、実現すればこの宇宙軍は6番目の軍隊となります。
宇宙軍を新設する理由として、トランプ大統領はこう述べています。
“米国が宇宙に存在感を示すだけでは不十分、宇宙にアメリカによる支配を築かなければならない。”
宇宙におけるアメリカの存在感だけではなく、絶対的な支配を今後は目指していくということです。
宇宙軍は実は過去に存在していた
宇宙軍を新設するということですが、実は“United States Space Command”という宇宙軍がアメリカには過去に存在していました。
1985年に発足し、2002年にアメリカ戦略軍に整理統合され、その機能は現在空軍へ移されています。
実際の活動は、通信衛星や軍事衛星の運用、弾道ミサイルを探知する早期警戒衛生の管理、サイバーテロへの対応等多岐に渡っていました。
この同じ軍を復活させるということなのでしょうか?
ですが、今回使われている単語は“Space Force”であって、“Space Command”ではありません。
“Space Command”ではできなかったことも含め、1つの軍として“Space Force”を発足させるということです。
独立した軍としての宇宙軍の立ち上げ
アメリカ軍はその軍事活動を大きく宇宙空間の衛星に依存しています。
飛来するミサイルの検知・遠方の味方との連絡手段や位置情報の確認・偵察、等、その多くの活動が人工衛星を介して行われています。
現在宇宙空間の防衛を管轄しているのは空軍と国防総省です。
今回トランプ大統領は、これまでのように空軍の中で機能する組織としてではなく、完全に独立した1つの軍、“分離はするが同等 (Separate but equal)”の立ち位置としての軍、として開設すると述べています。
ペンス副大統領は2020年までには宇宙軍を立ち上げるという目標を8月9日に発表しました。
反対の声も
ただ、この宇宙軍の構想に関し、反対の声も多数上がっています。
ジェームズ・マティス国防長官は支出が増えるだけであると軍の新設に反対しています。
宇宙軍を新設するとなると、新たに軍人や官僚を雇う必要があり、多大な人件費が必要となります。
新たな投資や研究開発費等、莫大な予算も必要となり、その財源の確保のめどもたっていないのが大きな理由です。
ペンタゴン(国防総省)だけでも十分に複雑なのに、新たに宇宙軍が増えるとなると、より組織が複雑化してしまう、とヘザー・ウィルソン空軍長官は語っています。
国防総省・空軍・CNN等からも、反対の意見が多数上がっているのが現状です。
宇宙軍創設が必要な実情
“宇宙にアメリカによる支配を築かなければならない”と語るトランプ大統領ですが、なぜ現在“ならない”という状況にあるのでしょうか?
冒頭で挙げたような、地球外生命体からの侵略の危機が迫っているということなのでしょうか?
実際はもっと現実的な問題がそこにはありました。
中国・ロシアの脅威に対抗するため
中国は2007年に人工衛星破壊実験を行いました。
自国の老朽化した気象衛星をミサイルで打ち落とした形です。
この実験以降、中国は対衛星兵器の開発に力をいれています。
ちなみに、この実験が元で発生した宇宙ゴミ(スペースデブリ)は史上最大規模であったと言われています。
ロシアも2018年2月6日に人工衛星を破壊するための新型ミサイル発射実験に成功したと発表しています。
軍隊は、その活動の多くを人工衛星に依存しています。
自国の人工衛星を破壊されると、壊滅的なダメージを負ってしまうのです。
物理的な攻撃以外にも、人工衛星へのジャミング(電波妨害)等の脅威も出てきています。
どこの国よりも早く宇宙空間を支配することは、自国を守る・戦争で勝つ、という意味合いにおいてとても重要である、ということです。
アメリカとソ連は過去にも宇宙の覇権をめぐって争っていますね。
最終的にアメリカが先に月面着陸を果たし、その争いに終止符が打たれましたが。
またその争いが始まる、いえ、もう既に始まっているということです。
アメリカに宇宙軍という構想があるように、ロシアにはロシア航空宇宙軍、中国には人民解放軍ロケット軍があります。
位置情報システムでいうと、アメリカがGPSなら、中国には北斗、ロシアにはGLONASS(グロナス)があります。
どの衛星もそれぞれに対衛星兵器の標的となる恐れがあるのです。
アメリカ・中国・ロシア、現在この3ヵ国が主として宇宙の覇権を巡って競い合っている状態です。
大統領選へのアピール材料として
2020年11月3日にはアメリカで大統領選が控えています。
ペンス副大統領は、2020年までには宇宙軍を立ち上げるという目標を発表しています。
これが実現できれば大統領選において大きなアピール材料となります。
ヒラリー・クリントン元国務長官も大統領選において、UFO情報の開示を公約するとアピールしていたことがありましたね。
トランプ大統領陣営の責任者であるブラッド・パースケイル氏は、陣営の商品として使う宇宙軍のロゴの電子投票を支持者に送っています。
大統領選の材料としても宇宙軍は大きな一役を担っているのかもしれません。
地球外生命体について何か情報をつかんでいる
これは何か確証があった、トランプ大統領が言及していたといった話では全くありません。
むしろ人によって格好のジョークの種です。
ですが真偽は別として、アメリカはなにかとUFOや宇宙人といった話題に事欠かないのも事実です。
とりわけ1947年にニューメキシコ州のロズウェルにUFOが墜落したというロズウェル事件は有名です。
アメリカのネバタ州にあるエリア51も古くから宇宙人やUFOの話題が絶えません。
前述した、ヒラリー・クリントン元国務長官のUFO情報開示の公約も実際に当選したらどうなったのか気になるところです。
もしかしたらトランプ大統領は既に何かをつかんでいる、ゼロではない可能性かもしれません。
まとめ
宇宙軍はかなり現実的な案であることが分かりました。
トランプ大統領もかなり本気のようです。
と言っても、この案が通るかどうかは最終的に全て議会次第なので、実際に実現するかどうかは未だ未知ですが。
いずれにしても、宇宙を視野に入れて考えていくことは今後益々重要になってくると思います。
今まで地球規模で収まっていたものが、良くも悪くも宇宙規模になっている時代です。
挙句、ゴミ問題まで宇宙ゴミといった形で宇宙規模になってしまいました。
インディペンデンスデイ、もしくはマクロスのような地球外生命体・宇宙人からの侵略が今後あるかどうかは謎ですが、宇宙を視野に入れた軍、2020年までに1年半を切っていますが実現するかどうか動向が気になるところです。