フレキシタリアンってなに?今世界と日本で増えている理由は?
ベジタリン・ヴィーガンといった言葉は以前からあり、一般的にも認識されていますが、ここ数年で同じような意味合いで新たに聞かれるようになってきた言葉があります。
それが今回ご紹介する「フレキシタリアン」。
フレキシタリアンとは何なのか?その詳細をデータと共にご紹介したいと思います。
目次
フレキシタリアンの意味は?
フレキシタリアンは英語のフレキシブルとベジタリアンを合わせた言葉です。
フレキシブル(Fexible)は“柔軟な・柔軟性のある・適応性のある”という意味があり、ベジタリアン(Vegetarian)は“菜食主義者”です。
“柔軟なベジタリアン”、ということになります。
ゆるベジ・セミベジ、等と呼ばれることもあります。
食生活から完全に肉や魚を抜くのではなく、自分のできる範囲で抜いて野菜中心の食生活を送ることです。
例えば1週間に1度は何を食べても良い日を1日作る、平日のみ野菜中心のベジタリアンで休日はなにも気にせず食べる、といった形です。
状況に応じて、無理のない範囲でフレキシブルに野菜を中心にした食生活を送る人をフレキシタリアンと言います。
フレキシタリアンが増えている理由は?
フレキシタリアンという言葉が聞かれるようになったのは、実際にフレキシタリアンの食生活を選択する人が増えているからです。
その大きな理由は、より健康に配慮した食事・環境問題・動物への関心の高まりです。
ヘルシーダイエットへの関心の高まり
今は健康に配慮する人が世界中で増えています。
日本でもヨガやフィットネスクラブなど、数十年前にはなかったものが今では一般的なものとなりました。
物が豊かになった分、今度は過剰な食事で不健康になってしまったり、デスクワークで運動不足になってしまったり、結果的に健康を害してしまっているからです。
肉や乳製品は美味しくても、それが中心となると、ガンや糖尿病のリスクが高まることが研究者からも指摘されています。
今日本の豆腐や納豆等日本食が世界で注目されているのも、野菜を多く取り入れたバランスの多い食事が多いためです。
もっと野菜を食生活に取り入れて健康的な暮らしをしたい、という人が世界で増えていることがフレキシタリアンが増えている大きな理由の1つです
環境問題への関心の高まり
環境問題ももう多くの人が実生活の中でも感じていることだと思います。
一番身近なところではビニール袋が有料化したことです。
これはプラスチックが最終的には海に流れて海洋と海洋生物を汚染するからです。
野菜を中心とする生活を選ぶことで、地球環境にも寄与することができます。
肉を生産するには野菜や穀物を生産するのに比べ何十倍~何百倍もの水が必要となります。
アマゾンでは経済活動が優先され大規模な森林伐採が行われていますが、これも私達が食べる肉となる家畜を生産する場所を作るためです。
とりわけ欧米では環境問題の面からも菜食を選ぶ人が急激に増加しています。
命としての動物への関心の高まり
猫や犬は日本でも世界でも大人気で大切にされます。
ですが、豚や鶏・牛となると、食べ物になります。
全ての動物には人間と同様に痛覚・生きようとする本能があり、それを犠牲にすることに対して考える人が世界で年々増えているためです。
とりわけ欧米ではここ10年で関心を持つ人が急速に増えています。
20代~30代のミレニアル世代と呼ばれる若い世代の間でとりわけ倫理的な面から動物に関心を持つ人が急速に増えています。
フレキシタリアンの人口は?
実際にどのぐらいの人がフレキシタリアンの食生活を実践しているのか見てみたいと思います。
以下は日本とイギリスのデータを参照にしています。
日本
参照元:ベジタリアン・ビーガン・フレキシタリアン人口調査 by Vegewel
上記は2017年にVegewelによって行われた調査結果です。
“意識して魚や肉など、動物性食品を減らすことはありますか?”という質問内容です。
“ある”が16%、“ない”が84%です。
あると答えた人はフレキシブルに野菜をとるようにしていると見なせば、16%の人がフレキシタリアン、とも言えます。
思ったよりかなり多い、というのが自分の印象です。
6~7人に1人がフレキシタリアンということになります。
ただ、これは質問内容が意識して魚や肉を減らすかどうかという大まかな部分だけなので、毎週1日~等、より厳密な定義で調査をするともっとずっと低くなるとも感じます。
イギリス
参照元:YouGov analysis of Brits’ dietary habits and attitudes to meat consumption
上記はイギリスのロンドンに本社を置くYouGovによって2018年~2019年に行われた調査結果です。
“肉を食べるイギリス人の割合とフレキシタリアン・ベジタリアン・ヴィーガンの割合”を示しています。
14%がフレキシタリアンでベジタリアン・ペスカタリアン(魚は食べるベジタリアン)・ヴィーガンは合わせて7%。
野菜を意識して取っている、ということでフレキシタリアン・ベジタリアン・ペスカタリアンを全て合わせると21%です。
5人に1人以上が意識して野菜を取っているということになります。
日本の6~7人に1人に対し、イギリスは5人に1人以上です。
イギリスのデータは実際に明確にそれぞれをフレキシタリアン・ヴィーガンと定義した上で調査したデータとなるので、日本の6~7人に1人は同じ条件でデータを取れば恐らくもっとずっと多くなる(フレキシタリアンの割合はずっと減る)と個人的に感じます。
モスバーガー等の大手企業もフレキシタリアンに対応
今は様々な外食サービスがベジタリアン・ヴィーガンのメニューを提供するようになりました。
その先駆けの1つとなったのはモスバーガーです。
全て野菜でできたグリーンバーガーの販売を少し前に開始しました。
実際に自分も食べてみたのですが、ヴィーガン・ベジタリアンとか抜きにしても美味しかったです。
詳細はこちらでも紹介しています。
「モスバーガーからヴィーガンバーガーが発売されたので食べてきました!」
その他では江崎グリコのプッチンプリンも植物素材のみでできたプッチンプリンが今はスーパーに普通に置いてあります。
コメダ珈琲もヴィーガン専門のレストランを銀座に今年オープンしました。
“食の多様性に応える”、ということで今は大手の企業が野菜のみで作られた食品の販売を開始しています。
フレキシタリアンのメリット
正直、完全に野菜のみで暮らす、というのはかなり日本ではハードル高いです。
欧米に比べてヴィーガン・ベジタリアンがまだまだ普及していないですし、一般的な壁もあります。
なので、対応する食品やレストランがかなり限られます。
ですが、“できる限り”、ということでしたら日本でもできます。
自分なりのルールを決めて無理のない範囲でしたら続けることができます。
それがフレキシタリアンです。
フレキシタリアンの一番のメリットは、人と壁を作らず誰とでも楽しく一緒に食事できるところだと感じます。
ヴィーガン・ベジタリアン、となると一般の肉や魚を食べる食生活の方からはストイックで、聞いた瞬間に壁ができます。
お互いに口に出さなくとも差別的な壁が生まれてしまうこともあります。
一般的なレストランではまず一緒に食事することができません、野菜中心に見えるメニューにも出汁に魚や肉が使われているケースがほぼだからです。
ですが、フレキシタリアン、となれば、人といる時だけはなんでもあり、と融通を効かせることができます。
白と黒ということでなく、“その中間”、という選択肢です。
実際自分がこれです。
人といる時・海外や地方を旅している時・ブログやYouTubeにどうしても載せたい時などはなんでもあり、ということにしています。
その他の1人でいる時はヴィーガンに近い食生活です。
ストレスなく、人との壁も作らず、楽しく一緒に食事ができるのがフレキシタリアンの最大のメリットだと感じます。
まとめ
野菜を自分なりのルールで取り入れていく新しい食のスタイルがフレキシタリアンです。
今後世界でも日本でもどんどん広がっていくと思います。
実際にヴィーガン・ベジタリアンのレストランや食品がここ数年で急速に増えているのがその証拠とも言えます。
自分も完全なヴィーガンでもないし、と10数年前は思っていたのですが、フレキシタリアン、と言う言葉が今は一番しっくりきます。
日本も食の多様性が受け入れられより広まっていくと個人的にもありがたい限りです。