小説のアルケミスト 夢を旅した少年の名言14選と感想!

初めてアルケミスト-夢を旅した少年を読んだのは大学の頃か卒業してすぐの頃か。
小説などは1度読んだら2度読むことは基本ないのですが、アルケミストは違いました。
その後人生の節目節目に読む機会があり、読むたびに新たな発見と気付きがあります。
運命や神、宇宙など少しスピリチュアル的な要素や抽象的な話もありますが、実際は何かしらの暗喩だったり哲学だったり、恐らく全ての人に共通する話です。
旅人になるのが夢だったがパン屋になった男、メッカに行くという生涯の夢を叶えない選択をしたクリスタル商人、錬金術を追い求め旅を続けるイギリス人、様々な人と関わる中で主人公はたくさんのことを学び、また自分自身の覚悟も試されます。
読んでいて、星の王子様ともいろいろ通じる部分のある小説だな、と感じました。
年齢問わず人生の岐路に立つ方、人生を深く見つめ直したい方、単純に旅が好きな方まで幅広い方々にお勧めの作品です。
ここでは、アルケミストの簡単なあらすじと自分自身が読んでいて心にとまった名言14選を解説や感想と共にご紹介できればと思います。
※下記ところどころネタバレありの内容となるので、まだ読んでいない方、ネタバレは困る、という方は読んだ後にまた尋ねてもらえると幸いです
あらすじ
アンダルシア地方に住む少年サンチャゴは羊飼いとして暮らしていた。
神学校に通っていたので神父になる道があり、また彼の両親もそれを望んでいた。
だがそれよりもっと広い世界を知ることの方が彼にとっては重要だった。
サンチャゴは神父の道を捨て羊飼いになる道を選んだ。
実際村から村へと移動し旅のできる自由な暮らしに彼は満足していた。
ただ、ここ最近繰り返し見るエジプトの夢が少し気にもなっていた。
ある村に到着すると、夢の解釈ができると評判の老婆に夢を解釈してもらう。
老婆はエジプトに行け、そこに宝物はあると告げる。
サンチャゴは単純な夢の解釈に失望しもう二度と夢は信じないと誓った。
だが、その後に出会った老人からどうやってエジプトの宝物を探せばいいか教えると告げられる。
彼は先程の老婆を思い出し、この老人も老婆と繋がっていて共同で騙そうとしているのだ、と勘繰る。
老人は1本の棒を拾うと、彼の両親の名前から彼の神学校の名前、誰にも話したことのないことも全て砂の上に書いた。
サンチャゴが何かを望むなら、宇宙全体が協力し手助けすると告げる。
サンチャゴはこれまでずっと生活を共にしてきた羊を全て手離しお金に換え、砂漠を超えエジプトに行く決断をする。
心にとまった言葉と名言14選
ふだんは、本より羊の方からもっと学ぶんだよ
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
少女がサンチャゴに対し羊飼いが本を読めると知らなかったと話しかけた時に返した言葉です。
これは実際その通りだと自分も感じました。
もちろん本からもたくさん学ぶことはあります、ですが何百冊読もうが実際に自分自身が体験してみないと分からないこともたくさんあるのです。
羊も実際に一緒に寝食を共にすることで初めて分かることがたくさんあります。
また彼らはたくさんのことを教えてくれたとサンチャゴは語っています。
上着の重さに文句を言おうとした時、彼は、上着があるからこそ、明け方の寒さをしのげるのだと思いなおした
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
サンチャゴはふと自分の羊に不満を持ち、日中の猛暑の中ジャケットを抱えなくてはならないことにも文句を言いそうになりました。
ですが、そのジャケットのお陰で寒さをしのげるのです。
なんにでもメリット・デメリットがあります。
人間はついデメリットにフォーカスしがちです、とりわけ機嫌の良くない時は。
ですが、それを失った時にそのメリットの大きさに初めて気付くことも多いのです。
そこら中からだよ
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
サンチャゴが老人にどこから来たのか聞いた時老人が語った言葉です。
どこからも人は来ると伝えています。
これにはいくつかの意味がある、またはそのいずれかだと思っています。
1つ目は、来たところを知ったろところでそれは本質ではない、意味をなさない、という否定的な意味合いです。
2つ目は、人はどこからでも来る、という意味です。
固定した1ヵ所ではなく、いくつもの連鎖によって生じそれが絡み合い今目の前に現れている、ということです。
3つ目は、老人自体が1つの現象に過ぎない、という意味です。
いろいろな形を変えいろいろな場所で現れる、だから老人自体は表面的に目に見える現象に過ぎない、ということです。
誰でも若い時は自分の運命を知っているものなのだ
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
老人が人の運命の話をサンチャゴに聞かせた時の言葉です。
若い時は知っていても時とともにその運命の実現は不可能だと思い込まされるようになるとも語っています。
ただ、何かを本当に実現しようと思えば、宇宙全体が協力し手助けするとも伝えています。
これは本当にその通りだと感じます。
子供の頃や若い頃はみんなそれなりに夢を持っています。
ですが、大人になり現実と自分の限界を知るにつれ、諦めていきます。
ただ、本気で覚悟を決めそれを叶えようとしたとき、不思議とその実現に必要なものが周りに集まり手助けをしてくれます。
いえ、実際は不思議でも何でもなく、覚悟を決め本気で動いたからこそ、その分実現の可能性が高まっただけなのです。
運命は自分の夢と言い換えても良いかもしれません。
人は、自分の夢見ていることをいつでも実行できることに、あの男は気がついていないのだよ
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
広場のパン屋で働いている男を指して老人が言った言葉です。
パン屋の子供の頃の夢は旅をすることだったのだそうです。
その資金のためにパン屋となりお金をため、老後はアフリカで短期間過ごす、それが今のパン屋の姿。
パン屋の夢に限らず、本気でやろうと思えば今すぐできることはけっこう多いです。
ですが、人は躊躇します。
それによって失うものが恐いからです。
気が付けば年だけとっていき、いつの間にか夢もどこかに忘れ、仮に覚えていても身体は昔のように動かずまたかつての気力もなくなっています。
結局、人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
サンチャゴはパン屋も旅がしたかったなら羊飼いになれば良かったのにと老人に告げます。
老人はパン屋の方が立派な仕事に見え、自分の家も持てるから彼がパン屋を選んだと伝えます。
パン屋が本当にやりたかったのは旅でした。
ですが、選んだのは全く別の職業であるパン屋です。
パン屋の方が世間体も良いしお金も稼げ家も持てるからです。
結婚も羊飼いよりパン屋の方が信用してもらえます。
自分がどうしたいかより世間でどう見えるかに重みを置いたのです。
わしが六頭の羊をもらうと言い張ったのは、わしは、おまえが決心するのを助けたからだ
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
宝物について知りたければ十分の一の羊をよこしなさいと老人はサンチャゴに告げました。
サンチャゴは今後見つかる予定の宝物の十分の一でどうかと聞きますが、その答えに老人は失望します。
サンチャゴがまだ手に入れてもいないものを引き合いに出したからです。
いえ、何より覚悟を決めていなかったことに失望したのです。
老人の正体は王様だったので裕福でした。
羊などは全く必要ではありませんでした。
それでも代わりに羊をくれと言ったのは、サンチャゴに決心させるためでした。
無料では彼のためになりません。
相応の対価があることで本気になり、覚悟を持って動いていくようになるのです。
本当に起こっていることではなく、自分が見たいように世の中を見ていたのだ
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
サンチャゴが少年に騙され全てのお金を盗られた後冷静になって呟いた言葉です。
バーで自分のお金を少年に見せた時、バーの主人がアラビア語で怒ってまくしたてました。
少年は彼は君のお金が欲しくて大声をあげていたのだ、と伝えました。
サンチャゴは少年が危険から自分を救ってくれたと信用しますが、それは間違いでした。
本当にサンチャゴを救おうとしていたのはバーの主人だったのです。
自分の都合の良い方に解釈する、というのは誰しもがあることかもしれません。
ただ、一度無意識的にも色のついてしまったフィルターを外し、一歩下がって俯瞰して見ることで物事や自分の状況を正確に判断することができます。
彼は自分のことをどろぼうに会ったあわれな犠牲者と考えるか、宝物を探し求める冒険家と考えるか、そのどちらかを選ばなくてはならないことに気が付いた
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
無一文になったサンチャゴの前に現れた選択でした。
自分次第でどちらにもなれます。
コップに残る水の理論と一緒です。
半分“しか”ないと捉えるか、半分“も”残っていると捉えるか。
サンチャゴが選択したのは後者でした。
その決断こそがさらにサンチャゴを運命の実現に近づけるのでした。
彼は新しいことをたくさん学んでいた。そのいくつかはすでに体験していたことで、本当は新しいことでも何でもなかった
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
サンチャゴは自分を宝物を探し求める冒険家と捉えることで、たくさんの新しいことを学び始めます。
ですが、実際にはこれまで気付いてなかったことに気付き始めたのでした。
あまりに自然にいつもそこにあったので気付かなかっただけです。
新しく見えることも、実は少し形などは変わって見えるものの本質はどれも一緒ということがあります。
実は既にそこにあったり既に持っていたりするのに、それに気付かず外を追い求めてしまうこともあります。
違う国の言葉を話すキャンディ売りとお互い理解し合うことでサンチャゴは気付きます。
羊達とそうであったように、言葉を介さずともお互い理解し合えるのだと。
少年は、直感とは、魂が急に宇宙の生命の流れに侵入することだと理解し始めた
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
らくだ使いが話すことを細かくその場で理解できなくても、直感的にサンチャゴは理解します。
実際自分もこの、“魂が急に宇宙の生命の流れに侵入すること”、という言葉を細かく理解しているわけではありません。
見方を変えれば科学的裏付けもない単なるスピリチュアルな話で終ってしまいます。
ただ、うまく言葉にできなくても直感的に理解できる部分もあります。
宇宙の生命の流れでは、全ての歴史がつながっているともその後に続いています。
そこに繋がった時が直感なのです。
それは物事の本質であり、そこに触れたからこそ直感となって理解より先にはたらくのだと感じます。
実際に量子力学では人の記憶や情報やエネルギーは別の世界で蓄積される、とも言われています。
少年はそれまで、本を開げるたびに何か大切なことを学べるという迷信を持っていたが、ここでは本は不必要な荷物だと決めたのだった
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
サンチャゴはキャラバンと共に砂漠を進みます。
目をしっかり凝らせば砂漠ではたくさんのことが周りで起こり、ヒントも与えてくれます。
それに気付かないのは本に読みふけっていたイギリス人だけでした。
彼は本のみから物事を学ぶことに集中していたからです。
実際に本から学べることはたくさんあります。
ですが、今ここで起こっている現実のことからしか学べないこともたくさんあります。
本は時間のある時にまたいつでも読むことができますが、今ここで起こっている現実は今しかありません。
それを逃せばもう2度と戻ってはこないのです。
それに気付いたサンチャゴは読んでいた本を閉じ、周りを眺め風の音に耳を傾けるようになったのです。
その二、三行を理解するためだよ
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
少年はイギリス人になぜ錬金術の重要な文献はほんの数行なのにそんなにたくさんの本を読む必要があるのか尋ねます。
イギリス人はそのほんの数行を理解するのにたくさんの本を読む必要があることを伝えます。
人間は効率的な方法、楽な方法、時間のかからない方法で同じものを得られるならその方法を選びます。
実際それは間違いではない場合もあります。
ただ、手っ取り早さを求めて得たものは時としてほとんど役に立たないこともあります。
表面の要点だけ理解して本質を理解していないからです。
数行の本質を理解するためには、その何百倍、何千倍もの事象を理解する必要が時としてあります。
その理解をもった上で初めて本質に辿り着けるのです。
急がば回れ、ということわざがありますが、本当に急いでいるのでしたら遠回りをしなければならなかったりすることがあるのです。
人には誰でもその人その人の学び方がある
「アルケミスト 夢を旅した少年」著者:パウロ・コエーリョ (角川書店)
サンチャゴはイギリス人と話すことで彼の読んでいる錬金術師に書かれた本に興味を持つようになる。
逆にイギリス人はサンチャゴと話すことで、本だけでなく周りの出来事をもっと観察するようになる。
お互いにやり方を入れかえてみたものの、結果的にはどちらも満足する結果とはならなかった。
サンチャゴは本を返し再び周りを観察するようになり、イギリス人は再び本に集中するようになった。
サンチャゴは人には人のやり方・学び方があるのだと理解する。
どっちが良い悪いではなく、人それぞれに合ったやり方があるのだ。
その上でサンチャゴは本を読むという方法で自分の運命を追求するイギリス人を尊敬したのでした。
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