伝説の高校生漫画家谷口ひとみさんのエリノアはどこで読める?実際に読んだ感想とともにお伝えします!

今から60年程前、高校生が描いた漫画が講談社の漫画賞に入選し週刊誌に連載されました。
その画力とストーリーが当時ファンの間で話題となり、今でも伝説とされている漫画が今回ご紹介する「エリノア」です。
実際に自分も気になって購入したのですが、自分が生まれるずっと前の高校生がここまでの作品を作ったのかと感慨深いものがありました。
ここではエリノアという作品を読んだ感想もまじえご紹介できればと思います。
※ “エリノアはどこで読める?"以外の項目はネタバレありなので、ネタバレは困る、という方はご一読してから再訪していただけると幸いです
目次
谷口ひとみさんの漫画エリノアとは?
エリノアは昭和41年度第四回講談社新人漫画賞の入選作として少女フレンドに掲載された作品です。
今では“幻の名作”と呼ばれています。
作者は当時高校2年生だった谷口ひとみさん。
17歳で1年の歳月を費やし生み出した作品です。
谷口ひとみさんは新人漫画家を募集していた講談社の「週刊少女フレンド」編集部にエリノアの原稿を送り、これが編集部の目にとまったのでした。
最終的にエリノアは少女フレンド第四回新人まんが入選作として掲載されることとなります。
エリノアは「週刊少女フレンド」掲載にあたり、描き直しの要請はほとんどなく、即戦力のレベルだったと言われています。
この作品が当時衝撃的だったのは主人公の少女が醜かったことです。
通常主人公は著者を象徴することも多く、美しかったりかわいかったりします。
とりわけ少女漫画だとなおさらです。
ですが、エリノアの主人公は醜く描かれています。
しかも、なんとなく醜いというのではなく、読めばしっかりと意識して醜く描かれていることが分かります。
当時少女漫画と言えば、主人公は目が大きくきらきらしてきれいでかわいくて、というのが常だったはずなので、この作品が斬新で少女の読者に大きな衝撃を与えたのは納得です。
また、最後も恋が実ることはなく、愛した人のために自ら命を落としてしまうというのも衝撃の結末だったはずです。
恐らく人魚姫の要素なども作品に取り入れたのではないかと思います。
谷口ひとみさんは賞を受賞した数週間後、自ら命を断ちます。
数日前に18歳になったばかりでした。
エリノアは彼女にとって最初で最後の作品となりました。
エリノアを読んだ感想
まず、画力がすごい、と感じました。
掲載にあたりほとんど描き直しの要請がなかったのも納得です。
高校2年生でここまでの絵が描けるのは、努力と才能の両方なのだと感じます。
主人公をしっかり醜く描くというのも斬新でした。
ちなみに作者の谷口ひとみさん自身は忖度なしにおきれいな方でした(エリノアの巻末にお写真が掲載されてました)。
最初のセリフの中で、エリノアが花をかざるのは嫌い、せっかく咲いているのに人間のなぐさみものにするのは残念、といったことを話していて、繊細で豊かな感性を持たれた方だったのだと感じました。
アルバート王子が美しくなったエリノアの本当の正体を知った時、やはり愛せないという罪の意識から自死を選ぼうとうするところも、やはり人は外見という現実、それでもそれを良しとせずそのために死さえ選ぶ王子、読者に訴えかけてきます。
最終的に王子を救うためエリノアが犠牲となります。
結局恋も実らず自らが犠牲になるという結末です。
ただ亡くなったエリノアの顔はやすらかで幸福そうでした。
“でも、エリノアは世界一しあわせな少女だったのではないでしょうか。”で締めくくられています。
これは読む人に様々な感情をもたらしたのではないでしょうか。
全然関係ないですが、ふと「魔法少女まどか☆マギカ」を思い出しました。
これも自己犠牲でした。
死ぬよりもずっとつらいこと、それは全ての人間の記憶から未来永劫忘れ去られること。
アルバート王子も美しかったエリノアの記憶は全て忘れてしまいます。
唯一の救いは元のエリノアのことは覚えていて忘れることはなかった部分です。
エリノアはどこで読める?
エリノアは元々単行本になっていなかったのですが、たくさんのファンの要望からさわらび本工房さんが2008年に復刊しました。
その後、2016年に定本として復刻しています。
ただ、今(2025年4月現在)絶版本の再販で有名な復刊ドットコムを確認したのですが、売り切れになっていました。
ヤフオクは発見したたのですが、また値段が高い!
3万円超えてました!!
メルカリの方も調べると、1万円代でありました。
実際に1万円前半の価格帯でいくつか売れた経歴があったので、1万~1万5千円の間が現在の適正価格と言えそうです。
というか自分がこの価格帯でメルカリで実際購入して読んだのでした。
まとめ
エリノアは容姿で決まってしまうという現実の残酷さと願いを叶えるというファンタジーの要素が合わさった作品です。
花を飾ることをせっかく咲いたのに人間のなぐさみものにする行為だ、と伝える場面に谷口ひとみさんの感受性の豊かさや繊細さを感じました。
17歳であそこまでの作品を作り上げてしまったことから、ご存命されていたらきっと著名な漫画家さんになっていたのではないかと思います。
実際にベルサイユのばらの著者である池田理代子さんとも連絡を取り合う仲だったそうです。
週刊誌の連載のみで本として世に出されることのなかったエリノア。
数十年の歳月を経て、単行本化に尽力し1つの本として出版してくださったさわらび本工房さんに本当に感謝です。
谷口ひとみさんとエリノアは時代を超えて読者の中で生き続けるのだと感じました。